いままで元気にしていたのに急に悲しそうにガッカリしている友だちがいたら元気づける何か気のきいたひと言でも掛けたくなるときってありませんか。
そのようなときに備えて、友だちを元気づける英語表現をいくつか学んでおくといざという時に役に立つと思います。
今回は映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のセリフを通して相手を気づかう気持ちや友だちを元気づける英語表現があるので紹介します。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド あらすじ
1969年のハリウッドは来たる新時代に向かって映画、音楽、芸術などあらゆるものが新しく生まれ変わろうとしていた。
しかし、1950年代にテレビのスター俳優として輝いていたリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)はすっかり落ちぶれてしまい、いまやテレビ局の新しいスターを育てるため駒に過ぎない存在になっていた。
しかし、映画プロデューサーからイタリアでマカロニ・ウエスタン映画への出演を受けたりと悪いことばかりではなかった。
リックの親友でスタントマンのクリフ・ブース(ブラッド・ピット)は落ち込んでいるリックを元気づけるのだが、マカロニ・ウエスタンなど出てられるかとプライドが障壁になってしまう。
そんな折、リックの家の隣には時の人である映画監督ポランスキーと彼の妻で新進女優であるシャロン・テートが越してきた。
これは何か良いことがあるかも!と一瞬元気をとり戻し仕事にとり組むリック。
しかし、状況が良くなるわけでもなく、撮影中にセリフを忘れてしまったりなど惨めな気持ちになってしまい、またしても落ち込むリックだった。
けれど、気を取り直し本気で臨んだ撮影シーンでは監督や仲間からの高評価を受ける。自信と勇気をとり戻したリックは俳優として再び輝くためにイタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演することを決意する。
クリフもリックに同行してイタリアでは新たな実績を出したが、今後の生き方について語り合った2人はハリウッドに返ってくる。そして1969年8月9日、リックやクリフの人生を巻き込み、ある事件が発生する。
マカロニ・ウエスタン映画への出演をオファーされる
西部劇を愛し、リックに一目置く映画プロデューサーのマーヴィン・シュワーズ(アル・パチーノ)はリックに対するテレビ局内のあつかいが新人俳優を売り出すために利用されているだけでリックの評価を下げていると心配しています。
このまま行けば世間はリックのことをやっつけられるだけの悪役専門としてのイメージが付いてしまう。それより、イタリアの西部劇映画に出演して主役としての地位をとり戻せと提案するのでした。
映画プロデューサーの心配とオファーにリックは正直痛いところをつかれたとショックを受け帰り際に泣き出してしまいます。リックのスタントを務めるクリフは心配そう。
It’s official, old buddy.
もうおしまいだ。
If coming face-to-face with failure, that’s your career ain’t worth crying about, then I don’t know what the f**k is.
面と向かって「お前はおちぶれた」って言われりゃなくしかないだろ。
◎英語メモ
official 正式なもの
かなり略された言いかたですが、It is a official comment. または It’s a official statement.という感じでリックはプロデューサーからハッキリと核心をついたコメント(このままだと忘れ去られるぞ)をされたと言っています。
友だちを元気づける英語表現 1
リックがなぜ泣き出したのか事情をきいたクリフ。イタリア映画で主役を張れるなんて良いことじゃないかとリックをもり立てます。
Look, I never had much of a career to speak of. So I can’t say I really know how you feel.
なあ、俺は映画にたくさん出てきたってわけじゃないから大したことは言えないけど。
Going to Rome to star in movies does not sound like the fate worse than death that you seem to think it is.
イタリアの映画に出ることが考えてるほど悪いもんじゃないと思うんだけどな。
もともと何も持っていないスタントマンのクリフからすれば
クリフの気持ちとしては、いつも悪役ばかりで必ずと主役にやっつけられるテレビドラマよりイタリア映画で主役として出演した方がイメージがいいじゃないかと言いたいわけです。
しかし、リックは今まで主役を張っていたスターだっただけに、※)マカロニ・ウエスタンに出演すると言うのは屈辱だったようです。
リック:
Nobody likes Spaghetti Western.
マカロニ・ウエスタンなんて誰も観ないよ。
※)マカロニ・ウエスタンとは?
1960年代中盤にヨーロッパ(主にイタリア)で製作された西部劇映画。マカロニ・ウエスタンというのは日本のみでの呼び方で劇中のセリフにもあるようにヨーロッパ製西部劇映画は通称「スパゲティ・ウエスタン」と呼ばれていた。 最初の頃は映画作品としては2流扱いされていた。しかし、1964年『荒野の用心棒』がヒットしてからはイタリアでたくさんの西部劇映画が作られ一大ブームとなる。
新しい自分を見せろ!
マカロニ・ウエスタンの話をよそにリックは新しく入った「対決ランサー牧場」の仕事に向け準備をしていた。しかし、それはまたしも悪役の話で誰がやっても同じような印象の薄い役柄であった。
「対決ランサー牧場」の作品監督からは手厚くもてなされるが、実のところ輝かせたいのは主演の新人俳優の方である。リックの衣装や髪形をかたる監督。
しかし、それでは自分が何者か観ている人がわからないと言うと監督はキミを雇ったのは演技を見せてほしいからだとリックに主張する。
I don’t want them to see Jake Cahill. I want them to see Caleb. I hired you to be an actor, Rick. Not a TV cowboy. You’re better than that.
聴衆にはジェイク・カイル(リックがテレビドラマで主役を張っていたときの役名)だとわからない方がいいんだ。みんなには悪役ケイレブを見せたい。俺が君を雇ったのは役者として雇ったんだ。役者魂を見せてみろ!
◎英語メモ
最後のフレーズ You’re better than that.の ”that” は Jake Cahillを指しています。
主役はお前じゃないんだぞ!と意地悪にも聞こえますが、好意的に捉えれば監督としては過去の栄光にすがるより役者として新しい一面を見せてみろと激励しているようにもみえます。
友だちを元気づける英語表現 2
結局のところ、ハリウッドでの自分はとっくに終わってると受けいれるしかない。そう肩を落とすリックでした。悪役らしいヘアスタイルも髭も決まったリックは撮影がまでスタジオをうろちょろしていると大きな本を読んでいる少女に出くわします。
少女はリックと共演する子役で8歳ながら俳優という仕事に対して実に真剣に向き合っているとリックは感じます。
しばらく雑談したところでリックは持っていた小説のストーリーについて少女から聞かれます。
リックは少女に小説の内容を説明しているうちにストーリーに出てくる主人公がじぶんの落ちぶれた姿と重なってしまい涙ぐんでしまいます。
驚いた少女はリックにかけよります。リックが涙ぐむのは小説がすごく哀しいストーリーだからと勘違してリックにより共感するのでした。
It’s OK, Caleb. It’s OK.
泣かないでケイレブ。大丈夫よ。
It sounds like a really sad book. Poor Easy Breezy.
I’m practically crying and I haven’t even read it.
とても悲しいお話ね。かわいそうな手名づけ屋のブリージー。
読んでない私でも泣きそうだもの。
◎英語メモ:
practically ほとんど、~も同然で
少女のセリフを解説すると、ストーリーを話しながら涙ぐむリックに少女は本の内容がよほど悲しい話なんだと思い
“practically crying”
実際に読んではいないけれど自分も泣けてくる というニュアンスで使っています。
友だちを元気づける英語表現 3
撮影が始まったものの、撮影前に飲み過ぎたことが災いしてリックはセリフを忘れてしまうと言う失態をおかします。楽屋にもどると自分の哀れさを嘆きますが起きてしまったことはどうしようもありません。
気を取り直し、渾身の演技を見せつけたリックはその凄味のある演技を監督から絶賛されます。そして、一緒に共演した少女にも囁かれます。
That was the best acting I’ve ever seen in my whole life.
あんなにいいお芝居を見たの生まれて初めてよ。
このあとリックは感激のあまり涙ぐみます。ついに自分は役者なんだという自信をとり戻したのを実感できたからではないでしょうか。
落ち込んでばかりのリックでしたが、実はその原因はリックの考えすぎのせいでした。友だちを元気づける英語表現としては、この映画の中ではこのフレーズが一番リックにとって元気づけられたはずです。
というのも、落ちぶれたと言いながらも仕事だってあるしクリフのような仲間もいます。そして、一目置いてくれているプロデューサーもいるではないですか。
リックに必要だったのは「対決ランサー牧場」の監督や共演の少女が言っていたように「演技のできる役者」という仕事に向き合うことだったにちがいありません。
まとめ
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』映画のセリフに学ぶ英語フレーズを紹介しました。
劇中のリック・ダルトンは「落ちぶれた自分」という言葉にまどわされ過ぎて自分がもっている役者としての実力を発揮するのに少々時間がかかっただけではないかと思える映画でした。
けれど、最後には自信をとり戻しいろいろな事にふっ切れているし、なにも持っていないけれどタフな相棒クリフや仕事に向きあう姿勢がプロの8歳の少女もきっと刺激になったのでしょう。
面白い映画でありリックを心配してくれる仲間たちがどういった感じで元気づけてくれるのか英語表現も学べます。ぜひ、ご覧になって英語学習にも役立たせてください。