仕事には交渉事がつきものです。近年、英語を使った会議も珍しくなくなってきました。
外資系企業に限らず英語によるオンライン会議に同席するなんてことも増えていきそうです。将来、仕事で英語を使う場面に出くわす前にネイティブが英語でどう交渉をしているか見れたら参考になりますよね。
本記事では、粘り強く英語で交渉するときの勉強になる映画『クレイマー・クレイマー』のワンシーンを紹介します。
ダスティン・ホフマン扮するテッド・クレイマーが仕事を獲得するため、粘り強く努力する姿はリアリティがあって英語の勉強のみならず自己PRの参考にもなることでしょう。
粘り強く努力する姿が逞しい!ネイティブの英語と交渉力がわかる
I’ll Take Anything
こどもの親権をめぐって裁判で争うことになったテッド。しかし、テッドは失業中で状況はよくありません。広告業界では腕の立つテッドは転職するために職業案内所に向かいます。
仕事の質はどうであれ、すぐにでも就職を決めたいテッド。とにもかくにも仕事が欲しいと職員と話しこんでいるシーンです。
職員:
Mr. Kramer, it’s December 22nd.
クレイマーさん、もう12月22日ですよ。
テッド:
I know it is. If you could just look at your card catalog. I’ll take anything.
わかってるよ。 なんでも受けるからカタログをよく見て欲しいんだ。
職員:
It might be something Norman Craig and Kummel but I don’t know.
ノーマン、クレイグ&カメルに何かありそうだけどわかりませんよ。
テッド:
What is it?
どんなかんじ?
職員:
Something in art department.
アート部門に何かあるような。
テッド:
Fine.
それでいいよ。
職員:
You got to go back on the board.
役員との面談が必要ですよ。
テッド:
It’s alright.
構わないさ。
職員:
It’s really step down cut in salary of almost 5000 dollars per year.年間5000ドル近く減給になってしまいますよ。
I’m sure you’ll be much happier if you wait to last the first.
もう少し待ったほうがよい話があると思いますが…。
Make An Appointment For Me
今までの仕事と比べて5000ドルも下がってしまうなんて普通は受けないところですが、テッドは就職することを急いで決めたい。そこで職員にチャンスがありそうな会社にアポを取ってくれるように頼みます。
テッド:
OK, do me a favor. Call Norman, Craig and Kummer and make an appointment for me at 4 o’clock.OK、こうしてくれないか。ノーマン、クレイグ&カメルに連絡して4時にアポを入れてほしいんだ。
職員:
It’s the Friday before Christmas.クリスマス前の金曜日に?
テッド:
Year I know but it’s still work day please.ああ、わかってるけどまだ平日営業日だろ、頼むよ。
A Hotshot
テッドは失業したままでは法廷で不利になる。つぎのセリフではどうしても仕事が欲しいテッドが職員に強引にアポを取らせるための駆け引きと言えるセリフが出てきます。
「なんてせっかちな人なんだ。」職員が呆れながらにいるセリフはユーモアのセンスがあり覚えておきたい言い回しです。
職員:
Nobody’s gonna want it.誰も仕事なんてしたくないでしょ!
テッド:
You call them up or I call. If I call them up, you don’t get a commission. Right?君が電話するか、僕が電話するか・・・もし、僕が電話したら君にはコミッションがはいらないだろ?
職員:
Oh my…, we’re a hotshot, aren’t we?やれやれ…、僕らはやる気満々ですね。
テッド:
Yes, we are.そう、その通りさ。
One-day Only Job Offer
テッドは、広告業界での活躍からいってかなり高い給料を取れる実力をもっていました。にもかかわらず、報酬額が少なくなったとしてもすぐに仕事を決めたい!
ここでテッドは面接先の会社役員たちに強気な申し入れをするシーンです。
現実的かと聞かれれば、実際の面接現場とはかけ離れているかもしれません。それでも、自分の目的を達成させるにはどう気持ちを伝えればいいか?じぶんの中の引きだしのひとつとして覚えておくと良い英語フレーズです。
役員:
Mr. Kramer, do you mind I ask you why you’re interested in a position to which you’re are clearly overqualified?
クレイマーさん、あなた程の経歴の持ち主がなぜこの仕事で良いんですか?
テッド:
I need the job.
仕事が欲しいんですよ。
役員:
Then, let me think about it. I’ll let you know.
では、よく考えてみましょう。
テッド:
No this is one-day only job offer gentlemen.
待ってくださいみなさん。 私からの申し入れは今回限りです。
You saw my book and you know I can handle the work.
わたしの仕事ぶりはお見せしましたよね。
I’m willing to take a salary cut. The only thing is you gonna have to let me know today.
給料が下がることも承知してます。だから、今日中に採用するのかどうか教えてください。
Not tomorrow, not next week, and not at the end of holidays.
明日でもなく、来週でもない。ましてや休日明けでもない。
If you really want me, you make a decision right now.
もし、わたしを買ってくれるなら、今すぐ決めてください。
英語解説:
Do you mind ~?「失礼ながら~してもいいですか?」という少し疑問に思う事に対して尋ねてみたいときに使えるフレーズです。
このシーンでいうと、年間5000ドル近く給料が下がるような仕事にどうしてそんなに必死になるのか?という役員たちの疑問からテッドに質問したというフレーズ。
この質問は「~を聞いたら気に障りますか」というニュアンスのため、日本語だと答えるときに少々わかりずらいかもしれません。
例えば
Do you mind my asking? 質問していいですか?
と聞いて「どうぞ」と答える場合は「気にならない」という答えのため No.
ダメなら「聞かれると気になる」ということでyes. で答えます。
日本では Yes は「はい」という意味でもあるのですが、ここでは OK の場合は Noと答えましょう。
Welcome Aboard
ついに仕事を獲得!
猛烈な自己PRから必死さを感じ取ったのか、役員たちは根負けしたかのようにテッドを受けいれます。ようやく仕事に有りつけたときのテッドの安心した様子をみてるとこちらも安心してしまうくらい引きこまれる表情です。
Mr. Kramer, you got yourself job. Congratulations!
クレイマーさん、採用ですよ。おめでとう!
Really?
ほんとに?
You kidding?
冗談ではないですよね
Not at all. Welcome aboard.
もちろん本当ですよ ようこそ我が社へ
Thank you. Thank you very much. Thanks.
ありがとう 本当にありがとう、ありがとう
英語解説:
aboard 搭乗する 会社を(ひと固まりの)乗り物のように例えることから、この単語を使っています。
Not at all. は We are not kidding at all. を省略したセンテンスです。
「~だなんて全然思ってませんよ。」という感じで日常英会話の常連です。
こうして仕事を得たテッドですが、残念ながら親権を巡った裁判では負けてしまいます…。
まとめ
いかがでしたでしょうか。粘り強い努力で就活するシーンから英語が学べる映画『クレイマー・クレイマー』を紹介しました。
自分の持てるチカラを最大限アピールして半ば強引に仕事を得たテッドの逞しさには感心させられます。また、この強引さも英語で聞くと日本語以上に力強く聞こえます。
英語で交渉するとはどういうものか?ミスター・クレイマー役ダスティン・ホフマンの英語は熱意と粘り強さで一杯です。自己PRとして見ても学べる要素がたくさんあるはずです。
ぜひ映画をチェックして、英語学習に役立ててください。