年々きびしくなる気候変動。夏の暑さひとつとっても、30年、40年くらい前は大して話題にもならなかったこともいまや深刻な事態になりつつあります。
というのも、ここ数年は身の危険を感じるほどのアツさで水分補給、日傘やサングラスはどれも外せません。
今回紹介する映画『インターステラー』は、気候危機や疫病による食糧難などそう遠くない未来に起きそうな出来事を描いています。
ムツかしい専門用語がたくさん出てくるのでとっつきにくい面もありますが、映画のセリフから次のような英語フレーズを学べます
- 愛というのは理屈では説明できない何かをもっている
- 終わりは近いかもしれないがあきらめてはいけないという励まし
- 世間話からも気候危機を感じさせる皮肉めいた言い回し
- 進歩に満足していないで成功するまでやり通せというダメだし
- ブーマーと言われる世代の人たちがつかう言い回し
では、さっそく見てみましょう。
『インターステラー』あらすじ
引用:MIHOシネマ
『インターステラー』映画のセリフや名言に学ぶ英語フレーズ
Love is One Thing That Transcends Time and Space
人類を救うため地球から脱出するために宇宙へ飛び立った科学者たち。移住可能の惑星を探していくなかで女性科学者のアメリアが宇宙船パイロットのクーパーに言ったセリフです。
アメリアはじぶんの恋人が、もしかしたら既に死んでしまっているかもしれないとしても、恋人の愛がじぶんを呼びよせてくれている。科学的なアプローチでは説明のつかないことだと信じています。
しかし、クーパーはじぶんが恋人に会いたいがためにワザと理屈っぽい説明しているだけだとアメリアの説に同意しません。後々にその気持ちはかわるのですが。
アメリア:
Love is the one thing we’re capable of perceiving that transcends time and space.
愛はわたしたちが感じられるモノだし愛こそが時空を超えるものなの。
引用:IMDb
アメリアのセリフですが、「勘」というか「思いこみ」というか確かにキチンと説明できないことってありますよね。信じることは大切だというを教えてくれるセリフです。
◎英語メモ
Love 以外の英語は日常会話ではそれほどつかわない英単語が出てきます。
TOEICなど英語の試験をうけようと思っているひとには覚えているとメリットがあります。
be capable of ~ができる
to perceive ~に気づく、感じる
to transcend ~を超える
Rage Against the Dying of the Light
人類を救うためのミッションはアメリアの父ブランド教授が発案した計画でした。ここでは宇宙に向けて飛び立ったロケットの乗組員たちにブランド教授がディラン・トーマスという著名な詩人のフレーズを引用して激励しています。
ブランド教授
Rage, rage against the dying of the light.
怒れ 怒れ 消えゆく光に
引用:IMDb
Wikipediaによると、ディラン・トーマスの父親というのは威厳のあるひとだったようですが寿命をむかえ最期が近いときに息子であるディラン・トーマスがかつての威厳ある姿をとり戻せとばかりに思いついた詩と述べられています。
人生の終わりを「消えゆく光」と表現するあたり、とても切なげな印象をうけます。
最期をむかえることにはなるにしても弱々しく終わってほしくないという願いが込められていたのでしょう。
We Used to Look Up at the Sky
このシーンでは、クーパーが父親とかわす会話に出てくるセリフです。
ひと昔まえは非常識と考えられていたことが現実として起きてる。何気ない世間話でかつての現実を皮肉るようなシーンでの言い回しの会話です。
We used to look up at the sky and wonder at our place in the stars.
Now we just look down, and worry about our place in the dirt.
かつては 空を見上げて星に思いをよせたものだ
いまじゃどうだい 地面を見下ろして砂の心配ばかりしている
引用:IMDb
◎英語メモ
ここでのセリフは世間話がベースになっているので日常英会話でもつかえるフレーズがあります。
セリフに出てくるフレーズ(句動詞)をつかって簡単な英文を作ってみます。句動詞というのは英文を作るうえでさけて通れないフレーズの塊だと思ってください。
もちろん、英単語や文法を覚えることも大切ですが、句動詞がわかるようになると英語がグッと身近に感じてきます。
I used to read books a lot.
むかしはたくさん読書していました。
I wonder at the picture.
その写真にはビックリした。
Hey, look down that street. So many people are lining at the noodle shop.
おい、あの通りをみて見ろよ。ラーメン屋に行列ができてる。
She always worries about her sister.
彼女はいつも妹の心配をしている。 (※she は三人称単数のため worry が worriesと変化しています。)
Not Far Enough
クーパーはアメリアたち科学者が探していた惑星のひとつにたどり着きます。しかし、そこは見わたす限り海のような場所で人類が移住できる可能性はありませんでした。
そればかりか、なにか手掛かりを探そうとしていたアメリアのこだわりが原因でその間に巨大な津波が襲ってきて仲間をひとり失ってしまいます。
アメリアは巨大津波から逃れて宇宙船に戻れましたが彼女の身勝手さが原因で仲間を失ったことでクーパーと言いあいになります。
アメリア:
Well we got this far, further than any human in history.
人類がここまでこれたのはわたしたちのおかげよ
クーパー:Well not far enough!
いや、まだ成功とは言えないね
引用:IMDb
クーパーのセリフを解説するとつぎのようになります。
「われわれは人類を救うために宇宙で探索をしているのであって科学者たちの研究成果の進歩を聞きたいのではない。聞きたいのは人類が助かるための成果を求めているのだ。」
プロセスよりも人類が助かる糸口がみえなきゃ成功とは言えないというキビシイ一言です。
この “not far enough” は何かを達成しようとするとき短くてつかえる英語フレーズです。
Eureka! It’s Traditional
このセリフは映画の後半にでてきます。人類が地球を脱出するためには重力に対して解決しなければならい問題点がありました。だが、どう考えてもその答えが見いだせない。
ついに答えがわかるときがくるのですが、その答えを出したのはクーパーの娘でした。詳しくはぜひ映画を観てもらうとしてクーパーの娘マーフが答えがわかったとき叫んだことばがコレです。
Murph: Eureka! It’s traditional…マーフ「ユリイカ!伝統よ」
◎英語メモ
Eureka!とは、Wikipediaで調べてみると「ギリシャ語に由来する感嘆詞」だそうです。なるほど日本語字幕をよむと感嘆符とセットになっています。
古代ギリシャの学者アルキメデスが体積にかんする発見をしたときに叫んだことばからきているようで相当ふるいフレーズだということがわかります。
映画の中でマーフが「伝統よ」とつけ足しているのもEureka!というフレーズの古さからきているわけですね。
Pew Research Centerという世代について詳しく解説してくれているサイトによると、Eureka!をつかうような人たちを若者たちはBoomer(ブーマー世代)と呼ぶそうです。
というのも、Eureka!はブーマー世代(こどもがたくさん生まれベビーブームと言われた1946年から1964年あたりまでの世代)ではよく使われていたようで、若者たちは経済、環境など深刻な問題を先送りにして偉そうに小言をいう世代をブーマーと呼んで相手にしない、スルーを決め込むわけです。
まとめ
『インターステラー』から映画のセリフや名言に学ぶ英語フレーズを紹介しました。
住めなくなりつつある地球をすてて新たな居住地を求め旅立とうとする人類。そのために必要なことを調べに太陽系を超えて未知の惑星へとむかう科学者たちというのが大筋ではありますが、いっかい観たくらいでは難しすぎてわかりませんでした。
映画のセリフも日本語で聞いてもわからないような英語のオンパレードで「英語学習には向いていない!」といったほうがいいかも・・・。
とはいうものの、何回も観ていくうちに単語にも慣れてきます。そのうち単語とシーンが定着してきて英単語の勉強になるので、やはり映画で英語の勉強するというのは効果あります。
英会話に役立つフレーズがあるとすればつぎの通りです。
- 愛というのは理屈では説明できない何かをもっている
- 終わりは近いかもしれないがあきらめてはいけないという励まし
- 世間話からも気候危機を感じさせる皮肉めいた言い回し
- 進歩に満足していないで成功するまでやり通せというダメだし
- ブーマーと言われる世代の人たちがつかう言い回し
3時間近くもある映画なので忍耐もいると思います。しかし、環境問題が日常化している現代人としてはいちどは観ておいたほうがよい作品です。