映画でもドラマでも、子供のころに観たときと大人になってから観るときとは違うことがありませんか。
その時々で理解する力が変わっていくからだと思いますが、映画『がんばれベアーズ』もそのひとつです。
今回は、チームとしての心の持ちようだったり、本音でお互いに語り合ったり、自らがやる気を奮起させるときにぴったりな英会話フレーズを紹介します。

(c) Paramount Pictures 出典:IMDb
がんばれベアーズ あらすじ
かつてマイナーリーグで活躍していた元選手のバターメーカーは少年野球チーム”ベアーズ”のコーチを頼まれる。うまい具合に給料に有りつけたと思いきやチームは何らかしらの問題を抱えた子供たちばかり。
チームは技術もなければ、結束力もない、そしてコーチであるバターメーカー自身が飲んだくれているばかりでやる気がないというまとまりのなさでした。
少年野球リーグでも、26対0と酷い負け方をして試合を放棄してしまう始末。ベアーズのオーナーからはチームを解散させると言われたり、落ち込んだ子どもたちを見て、さすがにバターメーカーも奮起し、元妻との娘、アマンダと球場にいつも現れては邪魔者扱いされていた不良少年のケリーをあらたなチームメイトとして迎え、チームはめきめきと強くなりリーグ戦の優勝めざして結束を高めていきますが…。
ねばり強く進めるよう励ますフレーズ
コーチを含め、チーム全体が落ちこぼれの集まりのような”ベアーズ”。
開幕戦で惨敗した事で学校ではさんざんバカにされてしまい、チームとしては、あまりの弱小ぶりに、これから先も野球を続けるかどうか投票した結果やめることにしたとコーチに告げます。
でも、みんな心の底では野球が好きで続けたいと思っています。そんなとき、コーチもチームと腹を割って本音を言うシーンがあります。
コーチ・バターメーカー:
You want to quit, Tanner? 辞めたいか、ターナー?
ターナー:
Crud, no. I want to play ball.
いやだよ、コーチ。僕は野球がやりたいんだ。
コーチ・バターメーカー:
I can understand how you guys feel.
君らの気持ちはわかるよ。
I haven’t been much of a manager…or much of anything else for that matter. And I’m sorry.
俺はコーチとしても何にしても大したことやれなくて悪いと思ってる。
But this quitting thing, it’s a hard habit to break once you start.
でもなぁ、諦めるなよ。いったん諦めてしまうと、やる気をとり戻すのは大変だぞ。
◎英語メモ:
a hard habit to break
直訳すると、「壊しがたい固い習慣」となり、それでは何だかよくわかりません。手前の“ this quitting thing ” から読みとって「あきらめ癖が付いてしまうぞ」という忠告のニュアンスを表わしています。
You’re a damn good bunch of boys. You probably deserved a lot better than me…but it looks like we’re stuck with each other.
君らはみんないい子だよ。俺なんかにはもったいないくらいだ。でも、どういうわけかお互い縁があるみたいだな。
アマンダやケリーの参加で、チームは勝負強くなっていきます。こうなると、チームを絶対勝たせてやりたいと思うのが人情です。
最初は飲んだくれでだらしないコーチだったバターメーカーも次第に勝負に対して気負ってしまい。子どもたちの良さを引き出すというより、勝ちにこだわり過ぎて逆にチームワークを乱してしまいます。
What’s the matter with you? All season long you’ve been laughed at, crapped on.
Now, you’ve got a chance to spit it back in their faces and what do you do?
You’re out there like a bunch of dead fish, not listening, bonehead plays, mistakes!
I mean, don’t you want to beat those bastards!
おまえらどうしたっていうんだ? いつもみんなに笑われたり、バカにされたりしてたんだろ。
今こそ見返してやる時なのに何やってるんだ。
やる気はない、言うことは聞かない、ミスはする。
ほんとに勝ちたいと思ってるのか?
◎英語メモ:
a bunch of dead fish
直訳:「うじゃうじゃいる魚の死骸」意訳:「ぼさっとしている」
つまらなそうにジッとしている様を表わすときに皮肉っぽく使うスラングです。魚の死骸は動かないところからきています。
思わず子どもたちを怒鳴りつけてしまったバターメーカーですが、実は変わってしまったのは自分だと気づきます。
そして、皆に言い直します。
Alright, get out there now and – do the best you can.
悪かった。よし、みんな行くぞ。みんなベストを尽くせよ。
勝ち負けに関係なく一人前のガッツは育った!
最初からバカにした態度で何度となくけんかになった対戦相手ヤンキース。
ヤンキースは勝負のあとに、ベアーズは大した相手ではないけれど、向かってくるガッツには感心したしバカにして悪かったと謝るというシーン。
We just wanna say you guys played a good game. And we treated you pretty unfair all season. We want to apologize.
We still don’t think you’re all that good a baseball team. But you got guts, all of you.
君らはよく頑張ったと言いたい。試合中はバカにした態度をとって悪かったよ。
ベースボールはいまだにヘタクソだと思うけど、みんなにはガッツがある。
謝ってくれなくて結構だ!来年は叩きのめしてやる!と、ベアーズは準優勝トロフィーを投げつけて言いかえします。
Hey Yankees!
You can take your apology and your trophy and shove it straight up your ass!
And another thing. Just wait till next year.
へい、ヤンキース! 謝罪もトロフィーもいらない。クソくらいだ!それともうひとつ。来年は負けないぞ。
◎英語メモ:
shove it straight up your ass!
直訳すると「(トロフィーを)おまえの尻の穴に突っ込め」となり、拒絶・攻撃などを表す。
shove ぐいっと押し込む
このとき、チームのみんなそれぞれが勝負への自覚を持ちました。
コーチであるバターメーカーの嬉しそうな表情が印象的です。

まとめ
子どもの頃に観たときの映画の印象は野球を題材にした子供向けコメディ映画くらいにしか思っていませんでした。
けれど何十年ぶりかに改めて観ると、 コーチとアマンダが交わす親子としてのリズミカルな会話があったり、コーチ自身がこども達に気がつかされるシーンがあったりと、 人生におけるいろいろなレッスンがあって、むしろ大人向けの映画といえます。