映画『タクシー・ドライバー』孤独な男のセリフに学ぶ英会話

アメリカ国旗 ドラマ

何かを達成したい気持ちは旺盛なのに、それを行動に移すと世間とのズレや孤独感から居場所をなくしてしまう人がいます。

今回は、映画『タクシードライバー』の主人公トラヴィスから期待や失望をどう伝えるかを学べるシーンで英会話を紹介します。

Company Credit: Sony Pictures Home Entertainment 出典:IMDb

タクシードライバー あらすじ

ベトナム戦争からの帰還兵トラヴィス(ロバート・デニーロ)はニューヨークの夜を走るタクシーの運転手。

トラヴィスにとってタクシーを運転するたびに嫌気がさしてくるのは、麻薬や売春など夜に目にする街の廃退ぶりだった。

ある日のこと、トラヴィスは大統領選挙の選挙事務所に勤めるベッツィに一目ぼれする。お茶をしたり、デートをしたりと当てもない人生に差した光だったが、どこか感覚がずれているトラヴィスはベッツィに絶交されてしまう。

精神的にもコントロールが効かなくなってきたトラヴィス。世の中の腐った状況を掃除するための武装訓練をする事でかろうじて精神を安定させるといった具合であった。

そんなある日、以前トラヴィスのタクシーに逃げ込んできた13歳の売春婦アイリス(ジョディー・フォスター)と偶然再会する。

期待と失望

いつもようにタクシーを運転して乗客を乗せるトラヴィス。何やら聞こえてくる会話と乗客の見た目からトラヴィスは後ろにいるのは大統領選に立候補しているチャールズ・パレンタインだと気づき、熱烈な支持者であると訴えるトラヴィス。

Travis:

Are you Charles Palantine, the candidate?

トラヴィス:

あなた、チャールズ・パレンタインさんじゃないですか? 選挙戦に立候補していますよね。

Palentine:

Yes, I am.

パレンタイン:

いかにも。

Travis:

I’m one of your biggest supporters.

I tell everybody that comes in this taxi that they have to vote for you.

トラヴィス:

わたしは熱烈なサポーターのひとりですよ。タクシーに乗る客みんなに「パレンタイン氏に投票しよう!」って呼び掛けていますよ。

Palentine:

Well, thank you…Travis.

パレンタイン:

ありがとう(身分証で名前をチラ見して)・・・トラヴィス。

Travis:

I’m sure you you’re gonna win, sir.

Everybody I know is gonna vote for you.

トラヴィス:

あなたが勝つに決まっていますよ。だって、知り合いはみんなあなたに投票するって話していますから。

好感を持たれていると知ったパレンタイン氏は、やはりリムジンよりも一般の客が乗り降りするタクシーの方が市民の生の声が聞けるとトラヴィスに言います。そして、せっかくの機会と思い、パレンタインはトラヴィスに聞きます。

Palentine:

Let me tell you something.  I have learned more about America from riding in taxi cabs than in all the limos in the country.

パレンタイン:

ひとつ言わせてくれ。この国、アメリカを知るにはリムジンに乗って演説しているよりタクシーに乗っていたほうがずっと得るものがあるよ。

Travis:

Yeah?  

トラヴィス:

ほんとに?

Palentine:

That’s true.

Can I ask something Travis?

パレンタイン:

ほんとさ。トラヴィス、ひとつ聞いていいかな。

Travis:

Sure.  

トラヴィス:

どうぞ。

Palentine:

What is the one thing about this country that bugs you the most?

パレンタイン:

君が思うに、アメリカが抱えている問題は何が一番やっかいなものかな。

英語メモ:

bug:イライラさせる(事または物)

一般の人があまり利用しないリムジンよりもタクシーに乗ったほうが市民の生の声が聞けると気をよくしたパレンタイン候補。自身の選挙戦のためにもとトラヴィスからアメリカが抱えている問題の核心に近づこうとします。

Travis:

Well, I don’t know. I don’t follow political issues that closely.

トラヴィス:

そうだな、といっても政治的な問題に突っ込んだことないからわからないよ。

Palentine:

There must be something.

パレンタイン:

何かあるだろう?

Travis:

Whatever it is, you should clean up this city here because this city is like an open sewer. it’s full of filth and scum. Sometimes I go out and I smell it.

トラヴィス:

なんであれ、この街を綺麗に掃除したほうがいいね。なぜって、ここは蓋の空いた下水道みたいだからさ。クソやらクズだらけだし、外に出ると臭ってくるぜ。

I get headaches, it’s so bad. It’s like, they just never go away, you The President should just clean up this whole mess here.

頭痛はひどくなるし、この汚れっていうのは消えないんじゃないかって思うよ。大統領になる人間はこういった汚いものを綺麗さっぱり浄化してもらいたいね。

He should flush it right down the f***ing toilet.

トイレにたまった汚物はすぐに流さなきゃ。

ニューヨーク・マンハッタンでタクシーを走らせるなか、普段からうっ憤がたまっていただけに、パレンタインからの質問に興奮気味に答えてしまったトラヴィス。

Palentine:

I think I know what you mean, Travis.

But it’s not gonna be easy. 

We’ll have to make some radical change.

パレンタイン:

君の言いたいことはよくわかるよ、トラヴィス。

しかし、それは簡単にはいかない。

そのためには抜本的な改革をしなくてはならない。

Travis:

Damn straight.

トラヴィス:

そりゃそうだね。

このシーンでは、質問に対する答えがあまりに当たり前すぎるような回答だったからか失望感を隠せない様子がよく描かれています。

まとめ

映画『タクシードライバー』を通して、雑談から得る期待や失望がよく描かれているシーンでの英会話を紹介しました。

劇中でトラヴィスは、一目惚れした女性とデートをするのにポルノ映画を選んだり、13歳で娼婦をやっていた少女に説教したり、自分の期待や望みが叶わないとなると亡き者にしようと考えたり、常識では考えにくい行動を次々と起こしていきます。

世間とのズレとかコミュニケーション能力の欠如とは言うものの、とても奥深い社会の問題です。映画を観ていると、40年以上経った今も映画で描かれているような状況というのは殆ど変わっていないと感じました。