映画のタイトル、テーマ音楽は聞いたことがあるけれど、ストーリーは知らない有名映画ってありませんか。
ヒッチコックの名作映画『めまい』も監督名だったりタイトルや音楽は有名なのにストーリーは意外と知られていなかったりします。
今回は、一人二役を演じ「めまい」という言葉のイメージをみごとに表しているエレガントでミステリアスなヒロイン、キム・ノヴァクに焦点をあてながらサスペンス映画をとおして学べる英語フレーズを紹介します。
めまい あらすじ
刑事ジョン・”スコッティ”・ファーガソン(ジェイムス・スチュアート)は、ビルからビルへと飛うつり逃げる犯人を追っていた。追い続けるうちに屋根からすべりおちてしまいビルから転落しそうになる。
仲間の警官が手をのばして助けようとするが逆にビルから転落してしまう。どうにか助かったスコッティだがその時のショックで高いところに行くと恐怖心から「めまい」が起きてしまう。
高所恐怖症のせいで刑事を辞めてしまったスコッティのところに旧友が頼みをもちかける。それは妻であるマデリン(キム・ノヴァク)がすでに亡くなった母の霊にとりつかれ様子がおかしいので調査してほしいという話だった。
あまり乗り気ではなかったスコッティだがしぶしぶとマデリンの尾行を開始する。尾行をつづけているスコッティの目の前でマデリンはとつぜん海に身をなげだして命を絶とうとする。
あわてたスコッティはマデリンを助けだす。
マデリンは助けてくれたスコッティのことを命の恩人だと感謝しファーストネームのジョンと呼び、スコッティも初めて見たときからどこかミステリアスで魅力的なマデリンに次第に惹かれていくのだった。
ふたりの距離が近づくにつれある事件がおき、スコッティは思わぬたくらみにまきこまれてしまう…。
『めまい』 キム・ノヴァックの魅力
ヒッチコック映画の特徴としてヒロインはほとんどがブロンド美人でした。映画『めまい』もマデリン役のキム・ノヴァクはブロンドビューティー。
旧友の妻マデリンとデパートで働くオフィスレディ、ジュディ。ひとりふた役をこなすキム・ノヴァクは映画全編に感じられるダークな雰囲気をカラフルにしてくれます。
キム・ノヴァク演じるマデリンの魅力として:
- ブロンドヘアーをアップしたヘアスタイル
- 白いコートと黒の手袋とタートルによるコントラストが映えるファッション
- 上品なかたり口調
1950年代はフィルム・ノワールが人気だった時代です。それは暗くどんよりしたミステリー、サスペンス、スパイ、ギャングが登場する映画にぴったりなネーミングでした。
ノワール(noir)とは、Wikipediaなどで調べると、フランス語がもとになっていて「黒い、ブラック」が本来の意味です。
また、「犯罪や裏社会」といった隠れた意味もあり、ミステリーやサスペンスのイメージにあっていたわけです。
ゴールデン・ゲート・ブリッジ下の海でスコッティに助けられたマデリンとの会話シーンなどキム・ノヴァクの自然な美しさが描かれています。
ヒッチコックの趣向なのか、それとも1950年代がもっていた空気なのかどうかはわかりません。しかし、エロティックなシーンなどまったく描かれていないのに、すごく大人びて妖艶な女性を描くのがとてもうまい!
ただ若いだけ、ただセクシーなだけでは出すことができないであろう魅力にあふれています。
つづいて映画ハイライトのひとつと言えるスコッティとマデリンが国立公園で語らうシーン。
国立公園にある樹齢2000年にもなるセコイヤメスギ前でマデリンは過去の亡霊に取りつかれている錯覚を起こし、スコッティは懸命にマデリンを救おうとするシーンです。
しかし、マデリンは何かに怯えたまま教会の塔からとびおり命を絶ってしまいます。
このあと高所恐怖症のせいでマデリンが塔のてっぺんに行くことを止められずスコッティは助けられなかった自分を責めて心の病気を患わってしまいます。
ヒッチコック映画の特徴として、ブロンドビューティーとマニアックな角度から撮影されたセットがあります。
下の画像をみても『めまい』というキーワードにピッタリならせん階段が映画にでてきます・・・みるからに「めまい」がおきそうなグルグルと積み上がっている階段です。
こちらはジュディ役のキム・ノヴァク・・・田舎から出てきて都会のデパートに勤務するO.L.を演じています。
マデリンとは対照的なジュディ。化粧も厚く、ブルネット(栗色)の髪、マデリンのようにミステリアスで洗練されたイメージと比べるとアカ抜けない印象です。
ひとり二役をこなすキム・ノヴァクですが、メイクや衣装ばかりでなく話しかたも違いがわかるようにしています。
ジュディは家族と折があわず田舎を飛び出してきたというキャラクターをだすためにヤボったい口調でスコッティに身の上ばなしをします。
しかし、スコッティの猛烈なアタックからデートを重ねるうちに次第にマデリンのイメージに近づいていきます。
『めまい』 ヒッチコックもカメオ出演 存在感をアピール?
ヒッチコックはブロンド美女を起用するのが特徴のひとつですが、もうひとつよく見かける特徴はヒッチコック本人によるカメオ出演です。映画『めまい』では、造船所をあるくヒッチコックの姿を見ることができます。
なるほど、言われて初めてわかる程度ですがヒッチコックは自身を映画に投影させるのがお約束だったみたいですね。
『めまい』 セリフに学ぶ英語フレーズ
さて、美しいキム・ノヴァクのセリフを見てみましょう。
英語のフレーズはシンプルな愛の表現です。けれど、キム・ノヴァクはシンプルなフレーズを淑女ということばがぴったりな響きにしています。
紹介する英語フレーズはリーディングとリスニングにフォーカスしています。
まるで自分がキム・ノヴァクから言われているというつもりで何回も聞いてみましょう。
ストレートでもあり遠回しでもある愛のセリフ
マデリーン:
And if you lose me, then you’ll know I, I loved you. And I wanted to go on loving you.
わたしを失ったら、わたしがあなたを愛していたということがわかるわ…わたしはずっとあなたのことを愛していたかったの。
引用:IMDb
おんな心がよく描かれたセリフ
マデリンが亡くなり、失意のなかジョンのまえに現われたジュディ。髪の色、化粧、話しかたはちがいますが、スコッティのなかに見えるジュディは完全にマデリンでした。
スコッティはジュディに半ば強引にアプローチをかけデートに誘います。そして、マデリンの姿へと変えようとするスコッティに最初は拒んでいたジュディも次第に根負けして彼の求める姿へと変わっていきます。
ジュディ:
If I let you change me, will that do it? If I do what you tell me, will you love me?
あなたの言うとおりにしたらわたしを愛してくれる。
スコッティ:
Yes. Yes. もちろんだよ。
ジュディ:
All right. All right then, I’ll do it. I don’t care anymore about me.
わかったわ。言うとおりにするわ。もう、どうだっていいわ。
引用:IMDb
スコティは、ジュディに生前のマンデリンと同じ化粧、髪の色、髪型、服装になるように要求します。愛するジョンのために従うジュディ。
I don’t care anymore about me. もう、どうだっていいわ。
心底スコッティに惚れてしまったキム・ノヴァク演じるジュディの女心がよく描かれています。
ストーリーに関係するスコッティのセリフ
ジュディは完璧なマデリンになるために、鏡の前であのマデリンがつけていたネックレスを着けます。その時スコティは、刑事だったときの勘も手伝ってジュディがマデリンを演じていたことを確信します。
ここでスコッティがいうセリフは事件のカギとなるフレーズです。
スコッティ:
You shouldn’t keep souvenirs of a killing. You shouldn’t have been that sentimental.
殺しのときの記念品(ネックレス)は取っておくもんじゃないな。(犯罪をおかすなら)センチメンタルになるべきじゃなかったな。
引用:IMDb
You shouldn’t keep souvenirs of a killing.
殺しのときの記念品(ネックレス)は取っておくもんじゃないな。
このセリフが意味するものは何なのか?
答えはぜひ映画を鑑賞してください!
実におもしろいフィルム・ノワールです。
まとめ
ヒッチコックの名作『めまい』を題材にマデリンとジュディを演じたキム・ノヴァクの魅力、セリフを通した英語フレーズを紹介しました。
ヒッチコックの名作映画『めまい』も監督名だったりタイトルや音楽は有名なのにストーリーは意外と知られていなかったりします。
さみしい話ですが、名作と言えども古い映画は本屋とか駅構内で安っぽくワゴンセールにおいてあることが現実としてあります。
しかし、映画を観てみれば1950年代にあったエレガントな雰囲気はファッションや話しかたに新鮮な感動をおぼえます。
映画の最初からラストまでを印象づけていたのはなんといってもキム・ノヴァクの美しさだと思います。特にマデリンを演じていたときの自然な美しさが素晴らしい(^^♪
ぜひ、いちど映画を観てそのフィルム・ノワールがどういうものなのか鑑賞してみてください。そして、本記事で紹介した英語フレーズもふくめ、気に入ったシーンがあればくり返しみることで英語学習にも役立ててください。
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