英語学習において映画のセリフや名言から英語フレーズを学ぶことは効果的だしオススメです。
今回紹介する映画は音楽ギョウカイで働く主人公と彼の発掘するアーティストのものがたりです。
CDの売れ行きが落ちた、音楽が売れなくなったという話はずいぶん前から聞くようになりました。
かといって音楽がなくなったわけでもなく、むしろもっと身近になったと言えるのではないでしょうか。
映画『はじまりのうた』では、新たな時代に翻弄されながらもプロの作り手が音楽をどうやって作りだすのかが映画をとおして垣間見ることができます。
本記事では、次のような英語フレーズを学べます。
- 新しいことにチャレンジするべき
- それには素晴らしい才能が必要だ
- その才能を自分の味方につけるにはどうしたらよいか?
じぶん以外の人間から協力をえるためにはねばり強く話を聞いてもらうことが必要だと思えるシーン、新しい才能や音楽にめぐり会えたときの素晴らしさを語るシーンでのセリフや名言と一緒に英語フレーズを見てみましょう。
はじまりのうた あらすじ
『ONCE ダブリンの街角で』でデビューを飾ったジョン・カーニー監督による長編2作目。大都会ニューヨークで心に傷を負った男女2人の出会いを音楽と共に綴る。主演にマーク・ラファロとキーラ・ナイトレイのトップ・スター。華やかなポップ・ミュージックに彩られた音楽映画の傑作。本作にてMAROON5の看板、アダム・レヴィーンが俳優デビューを果たす。
引用:MIHOシネマ
引用:MIHOシネマ
音楽の仕事にかかわる英話フレーズ
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Not Gimmicks
解説:時代の移り変わり
インディーレーベル(レコード会社)を起ち上げ、大きな成功体験のあるダンはどんなに時代が変わってもアーティストの才能を見いだし、そのアーティストを大切に育てていくことが音楽の仕事に関わるものとしての本質だと主張します。
We need vision, not gimmicks.
俺たちに必要なのはビジョンで、小手先のギミックなんかじゃないぞ。
引用:IMDb
さて、ここで出てきた” gimmicks “とは「仕掛け」「策略」という意味の” gimmick “の複数形です。
手前に” not “をつけて「小手先なんかじゃないぞ」と音楽づくりの本質を語ろうとしています。
音楽そのものを売るというより、音楽と関係ないようなオマケを充実させて付加価値をつけることに反対のダンはオマケのことをギミックと呼んでいます。
アツく語るダンですが、社内における他の仲間たちは音楽が売れにくい時代において、アーティストの音楽性だけに頼らずほかの付加価値(ここでは、アルバムを作ったバンドのメンバーがその解説までも担当とするといった内容)が必要だと感じています。
くわえて、ダンによるプロデュース作品は、かれこれ5年もヒットが生まれていなかったこともあり、社内で彼の評価も下がっていました。理想ばかりで実績のなさをつかれ、ダンは返す言葉もありません。
レコード会社の運営方針を巡り、その溝はおたがいに埋まらず長年の相棒もダンに言います。
Things change, times change.
モノも変わっていくし、時代は変わっていくんだ。
People got to change with them, Dan.
それにあわせて人も変わっていかないと駄目なんだよ、ダン。
引用:IMDb
とうとう相棒からも会社を去れと言われてしまうダン…自信も失いかけ途方に暮れてしまいます。
時代が変わりゆくにつれ、ヒットを生み出す感覚や勘と言ったものが通用しなくなってくるというのは残酷なものです。
新しい才能との出会い…
ダンは行く当てもなく入ったライブハウスで飲んでいると、街でひとり寂しく過ごしている人に向けて作ったという曲を披露するグレタの歌を耳にします。
その歌にヒラメキと希望を感じたダンはグレタに冷たくあしらわれながらも、バーで一杯やりながら懸命にくどきます。
ダン:
I promise you it could be a big hit.
君の歌は間違いなくヒットするって約束するよ。
Plus, you’re beautiful.
それに、君はすごく綺麗だ。
引用:IMDb
グレタのパフォーマンスを観たダンは、それまで失いかけていた自信や希望をとり戻せるとグレタに話すもののグレタは失恋中でダンの話など聞く耳をもたないという感じです。
グレタ:
Sorry, what’s beauty got to do with anything?
悪いけど、綺麗だってことと音楽とどう関係があるっていうのよ?
ダン:
Jesus, you’re tricky, aren’t you?
なんだよ、扱いにくい奴だなお前。
引用:IMDb
A & R Man
一緒にアルバムを作ろう! なにしろ元気をとり戻したダンはグレタにプロデュースの申し入れますが、グレタは失恋したばかりでノリも悪く、ダンのことを酔っぱらいのホームレスくらいにしか思っていません。
Are you really an A&R man? You look more like a homeless man.
あなたほんとにA&Rの人なの? ホームレスにしか見えないけど。
A & Rとは
「アーティスト・アンド・レパートリー(英語の発音はレパトワァー)」の略
アーティストを発掘し、作品を書かせるまたは他の人が書いた曲や詞と組み合わせることで作品のヒットを狙う音楽制作プロデューサーのことを意味します。
The Music Can Start To Do Its Real Work
ダンはグレタの才能にとても可能性を感じています。
もっと見栄えをよくすることでより成功の確率が高まると信じてグレタにそのことを伝えますが、グレタは音楽と見た目は関係ないと決めつけています。
グレタはダンに言い返します。
No, I just think that an A&R man telling an artist how they should dress or come across is total bullshit.
違うわよ、アーティストはこう着こなせとか、こういうイメージで行けとか指図してくるA & Rなんてとんでもないクズよ。
引用:IMDb
なかなか話がまとまらないふたりですが、負けじと説得をつづけるダン。
つぎのセリフは、人に認めてもらうためにはどんなことであれやるべきで、そうすることで初めてスタートラインに立てるとダンがグレタに熱くまくし立てるシーンです。
I am not saying that you can’t be a real bona fide mother ****er in this business.
俺はお前がこの業界で本物になれないって言ってるんじゃない。
But you got to do whatever it takes and get people in to see your shows where the music can start to do its real work.
だけど、本物になるにはやれることは全部やらなきゃダメなんだ。まずみんなに観てもらえるようにだ…そこで音楽がチカラを発揮するんだよ。
引用:IMDb
◎英語メモ:
bona fide 本物の(形容詞)
whatever it takes やることが何であれ
the music can start to do its real work.
音楽がその本当のチカラを発揮する。
これは、人びとの関心が集まってきたところでアーティストがもつ才能を開花させるという意味で ”The music” を主語に持ってきています。
さて、ダンの熱烈なアプローチの甲斐あって、ニューヨークの街でレコーディングが始まり、グレタの作った曲は次々と可能性のある輝きをもった作品に仕上がっていきます。
ふたりで好きなプレイリストを聴いたりクラブで踊ったりしていくうちに、グレタも次第にダンに心を開いていきいろいろな話をします。
歳をかさねるごとに心に響く名言
ここは映画の見どころのひとつであるシーンです。音楽の素晴らしさとダン自身が自分への寂しさを語るセリフがでてきます。映画の名言にもなっているフレーズです。
ダンは新しい才能をもったアーティストや音楽そのものが与えてくれる素晴らしさを語ります。
One of the most banal scenes is suddenly invested with so much meaning, you know?
大したことないような場面でも、それが突然意味のあることに変わるんだ、わかるか?
自分をときめかせてくれるナニかに出会うとは生きている証でもあり素晴らしいことです。
しかし、そういったトキメキは歳を追うごとに遠いものになっていき、だんだん輝きを感じられなくなってきていることに対するダンの寂しさが伝わってきます。
All these banalities, they’re suddenly turned into these…these beautiful, effervescent pearls.
ありふれたものすべてがこの美しくて、活きいきとした真珠になるんだよ。
From music. 音楽からな。
I’ve got to say, as I’ve gotten older, these pearls are just…becoming increasingly more and more rare to me.
実感してるのは、歳を追うごとに真珠を見つけるのが難しくなっていくんだ。
◎英語メモ:
banal 平凡な(形容詞)
be invested with 帯びてくる
banalities banaltyの複数形 ありふれたもの (不可算名詞)
effervescent 活きいきとした (形容詞)
be tuned into 変わる
be rare めったにない
まとめ
『はじまりのうた』では、映画のセリフや名言に学ぶ英語フレーズを紹介しました。
音楽という共通の言語を通して、それぞれが抱えている悩みや葛藤のなかで首尾よくとは行かないけれどみなが一体となってモノづくりをしていくところが良い雰囲気を出しています。
CDショップを覗いてみても、確かに20年くらい前に起きていた出せば売れるといった派手さはなくなったような雰囲気はあります。しかし、音楽は以前よりもずっと身近になったのは映画の中で描かれています。
英語学習において映画のセリフや名言から英語フレーズを学ぶことは効果的だしオススメです。
ぜひ映画『はじまりのうた』を観て英語学習にも役立ててください。