何かをしているときに、あれ?これって前にも同じようなことがなかったっけ?という体験したことありませんか。
デジャヴといわれる不思議な体験…映画『12モンキーズ』ではデジャヴがストーリーの中でふんだんに描かれています。
デジャヴを起こしたとき、英語ではどんな言い回しになるのかを『12モンキーズ』にある英会話フレーズを通していくつか紹介します。
© Universal Pictures(出典:IMDb)
12モンキーズ あらすじ
1996年から1997年にかけて謎のウイルスが世界中で突然発生し、50億もの人々はウイルス感染によって死滅してしまった。わずかに生存できた人類は地下に潜り細々と生きていくしかない状況に陥る。
人類を絶滅ちかくに追い込んだウイルスの正体は?そのウイルスはどこからきたのか?2035年、地下で活動する人類の中で科学者たちは、記憶力がよく、精神力も強靭な囚人ジャームス・コール(ブルース・ウィリス)をタイムマシーンで過去に送り込む。
コールは1人の男が横切って行き、それを追う男が目の前で殺されるという夢を何度も見て目を覚ますときはうなされることが多かったが、なぜその夢が出てくるのかは知る由もなかった。
タイムトラベラーとして科学者たちに選ばれたコールは、人類滅亡とウイルスには『12モンキーズ』という軍団が関わっていることがわかる。
かくして、1996年に向かうコールだが、未熟な科学者たちや性能が悪いタイムマシーンのせいで事が起きる6年も前の時代に来てしまい、職務質問された警官に対して暴れだし逮捕される。
警察で精神鑑定のため現れた医学者キャサリン・ライリー(マデリーン・ストウ)の判断によりコールは精神病院に送られる。そこでコールは、自分の父は神であるという入院患者ジェフリー・ゴインズ(ブラッド・ピット)の助けで病院を抜け出そうとするが失敗。
鎮静剤を打たれベッドに縛り付けられたまま狭い部屋に閉じ込められたジェームス・コールだが、抜け穴もないような部屋から突然跡形もなく姿を消してしまう。
デジャヴとは?コールやキャサリンの混乱
デジャヴとは、ある事をやっているうちに、その作業が初めてであるにもかかわらず、まるで以前まったく同じことをしたような気がする体験の事をいいます。
映画でのシーンでいうと、ウイルスによる感染症が起きた1996年に行くはずだったコールが科学者の手違いにより1990年に送られてしまった場面。精神鑑定をするために警察に訪れコールに話しかける精神医学者キャサリンがデジャヴを感じたシーンです。
キャサリン:
Have I seen you someplace? むかしどこかで会ったことある。
コール:
It’s not possible. ありえないね。
劇中、コールは何度もどこかの場所で人が撃たれるシーンを夢に見ます。
どこかで起きたあの場面はどうしていつも夢に出てくるのか?精神科医であるキャサリンはコールに「それは自分の頭の中で起きてる妄想」と説明しますがコールは信じません。
しかし、状況は一変します。2度目のタイムトラベルでは、どうにか1996年に訪れることができたコール。再びウイルスの発症元を探すため、1990年に出会った精神科医を誘拐する形で自分に協力させます。
ウイルス発症の原因は12モンキーズという軍団がウイルスをまき散らしたに違いないと踏んでいたコールですが、その首謀者と思われたジェフリー・ゴインズに問い詰めたものの、逆にウイルスはコール自身の発想だったとジェフリーに言われ混乱します。
いったい自分はどうなっているのか?精神科医が言うように妄想の中で生きているのか?現実と妄想の区別が自分でもわからなくなっていく中で、コールは再び1996年から消えてしまします。
気がつくとコールはベッドに寝かされ目の前には科学者たちが12モンキーズの詳細をつかんだコールの功績を称え、囚人だったコールに恩赦を与えてくれます。しかし、コールはそのことでさえもはや妄想に違いないと精神的にヤケになっていました。
一方で、未来のことなどもうどうでもいい。日の光を浴びれて好きなだけ空気が吸える時代でキャサリンと一緒に居られればそれでいい。
次第にそういう気持ちが強くなっていき、コールは科学者たちに従うふりをして三度1996年に戻ってきます。
しかし、皮肉なことに、あれほどコールは精神的に病んでおり、妄想の中で生きていると説いていたキャサリンがコールの話は本当だと信じるようになっていました。
コールとの出来事や話はもう既に起こっていて、50億もの人が死滅しようというのにどうすることもできないキャサリンは自分が信じてきたものが崩れつつあり混乱に陥ります。
コールは12モンキーズの正体を暴こうとしてキャサリンを強制的に協力者にしたのですが、その際に自分たちを襲ってきた暴漢2人を殺してしまっていました。
殺人で警察から追われる身となり、キャサリンも巻き添えになり一緒に逃亡するなか12モンキーズやウイルスの話がキャサリンには益々現実のものではと感じていました。
コールの話が本当に起きるかどうかは数日たてばわかるはずと思ったキャサリンは、それまでの間は逃げて様子を見ようと決めます。
「あとの祭り」を英語で表すと何という?!
次のシーンでは、逃げるために映画館にこもって変装の準備をしているときのセリフです。映画館の映画を観ながらコールは言います。
コール:
I’ve seen this movie before when I was a kid….
子供のころこの映画を観たような気がする。
The movie never changes. It can’t change.
映画が変わるなんてことはない。変わるはずもない。
But every time you see it, it seems different because you’re different.
でも、毎回映画を観るたびに違って見えるのは自分が変わったからだ。
キャサリン:
If you can’t change anything because it already happened, you may as well smell the flowers.
もし、どうやっても事は良くならない、起きてしまったことはあとの祭りよ。
◎英語解説
may as well+動詞
~したほうがよい
to smell the flowers 直に訳すと「花を嗅ぐ」ですが、ここでは「バタバタしてばかりいないで、花の美しさでも堪能した方がよい」つまり「あとの祭り」解釈しています。
似たような慣用表現としては
・ to stop and smell the roses
・ to seize the day
など、「今をしっかり生きる」という表現があります。
ヒッチコック『めまい』の影響が大きい⁈
映画『12モンキーズ』は過去の記憶にとらわれている面でヒッチコック『めまい』が元ネタになっているのではと伺えるシーンがあります。

Production Companies:
Alfred J. Hitchcock Productions
Distributors: Paramount Pictures
出典:IMDb
突然消えては現れるコールに精神科医キャサリンは次第にコールの言っていることが本当なのではと感じはじめ混乱していきます。
過去に起きたことがらに囚われて混乱していくところはヒッチコック『めまい』の影響がありそう。
まとめ
何か作業をしたり、誰かに会ったりと、その行為自体はまったく初めてのことなのに何故かしら昔おなじことを行った気がするという経験をデジャヴというお話でした。
映画『12モンキーズ』は、デジャヴの要素が多分に出てきて、どこまでが現実でどこまでが妄想なのなか混乱させながら進むストーリー展開が魅力です。
英会話フレーズとしては、「あとの祭り」という表現を紹介しました。すぐさま理解できるとは言い難いユニークな言い方ではありますが、これを機にぜひ覚えてみたください。